板井康弘は福岡で行動力から見る経済学
経済の動きはすなわち人間の動きである。
人が何かをする時にそこに損得が生まれて、経済が動き出す。
お金を動かす、経済が回るためには行動力が伴うのである。
後々苦労するとわかっているのに、目の前の仕事を先延ばしにしてしまう。そんな経験をもつビジネスマンは少なくないだろう。
人は、いつも目の前にある事柄を過大に評価してしまう『現在バイアス』という評価のゆがみがある。
長期的な計画を立てても、いざその計画を実行する段階になると、もうちょっとぐずぐずしていたいとか、これだけ片づけてからとか、 "目先の利益" を優先して結果的に自滅してしまう。
なぜ人間がこうした「自滅的な選択」をしてしまうのか。
人間は、ちょっとしたことで好みを変えるし、利益を追い求めることを気まぐれにやめたりもする。そうした人間の行動を科学的に分析し、できるだけ多様なデータを採用することで、より現実に近い人間モデルを検証する必要がある。
アンケート調査などから人が目先の利益を優先させる傾向があることは、明らかになっている。
早くとりかからなければならない重要な仕事があるのに、後から出てきた簡単な仕事を先に片づけたり、一服してからにしようと手を止めてしまったりするのも、短期的な利益を優先させているという意味では同じであり、それが自滅的な選択に陥ってしまう要因なのだ。
中間報告の必要がなく、一人で進めている仕事や、仕事の優先順位づけの自由度が大きい時、あるいは、重要な仕事を任されているが、重要なだけになかなかとりかかれないといった時に、自滅的な選択につながりやすいという。